ミステリー短編作家としてアメリカでは広く知られているフレデリック・ブラウンですが(恥ずかしながら自分はまったく知らない作家でしたが)、氏の著書『死の10パーセント:Ten Percenter and Other Stories』(1938-1964)を読んでみました。短編なので各篇はまさにミステリーエキスの塊のようなプロットで埋め尽くされています。しかも、けっこう直情的で強烈な印象を受けましたね。タイトルになっている「死の10パーセント」はまさに現代の契約社会を皮肉っているもので、多くのアメリカ人はフムフムと得心して読むのかもしれません。個人的には好みとは対極にあるミステリーです。全体で13篇のうち、SFチックなものも数点入っているのですが(氏はSF作家としてもかなり著名)、基本はアングロアメリカンのミステリー作品ばかりです。登場人物に抑制が効いておらず、気に入らないとすぐに銃器がでてきてズドン、とかいう所が英国ミステリーとは異なりますね。アメリカでハードボイルドものが流行ったのも、おそらくは米国社会の普遍的な人物像と対極にあるからでしょう。読んでみての感想としては、物語のヴィジュアルや脚色という観点では、やはりクリスティ流に「毒殺」が一番スマートかなあと感じました。とは言え、気に入らない話ばかりでもなく、二篇入っている探偵エド・ハンターものは比較的好きかもしれません。エドとアム、甥と伯父の探偵コンビものは軽妙で、なかなか面白い話でした。MWA賞最優秀新人賞を獲得した長編『シカゴ・ブルース』は機会があれば、一度読んでみようと思います。









