首都圏を賑わしたソメイヨシノも葉桜になって、桜前線は遠く北国へ離れていってしまいました。いま近隣の公園にいくと、遅咲きのサクラが点在しています。ほとんどが八重桜で、自分的にはこの風景が小さい頃から好きでした。サクラには六百を超すたくさんの栽培品種があって、これらを総称して「サトザクラ」と呼ばれています。その中には八重咲だけでなく一重咲きのものもあります。「サト」とは「人里」つまり人との関わりで出来たサクラという意味合いもあります。現在、日本で野生種として登録されているのは、ヤマザクラやオオシマザクラなど11品種で、それ以外のサクラは雑種(人工交配や自然交雑)ということになります。雑種は固定種ではないので、実った種からは親と同じものにはなりません。親と同じ性質をもったものを作り出すためには接ぎ木、つまり人の手による「栽培」が必要になります。たとえばカワヅザクラは、オオシマザクラとカンヒザクラという野生種の自然交雑で生まれたものですが、厳密には同じものを作ることが出来ないので(一卵性双生児を除き、両親が同じだからと言っても、姿や性格が全く同じ子供が生まれないのと同じ理屈です)、やはり接ぎ木で増やしてきたため栽培品種ということができます。在来種・野生種を思うあまり、栽培品種を見下す人が少なからず存在しますが、はてしなく長い間、熱意ある人が、苦労や工夫をしながら特徴ある品種を作り上げてきた世界に、自分はむしろリスペクトを感じます。









