桜草_Primula

佐倉市にある「国立歴史民俗博物館」に行った帰りに、同博物館付属の「くらしの植物苑」を散策してみました。先に取り上げたハチクもそこにありましたが、おそらく民衆の暮らしのなかで、有用木として活用されてきたためでしょう。そのなかで目を惹いたのがサクラソウです。この植物が暮らしに有用かどうかは別として、江戸時代から「園芸文化」を支えてきた重要な植物として位置づけられてきたことが、この植物苑におかれた理由だと思います。旗本を中心にたくさんの園芸品種が作出され、安政年間にはピークを迎えていたそうです。栽培技術の優秀さを競う「闘花会」なども盛んに催されていたようです。そういえば「つくば実験植物園」でも春の時期にサクラソウ展が開かれていたことを思い出しました。サクラソウは湿潤で、春になると林床に日照が届くような落葉樹林の付近を好みますが、開発により適地が減り、いまでは野生での繁茂を見かけることは殆どありません。この植物を護るための地域ごとの保全活動により、やや回復してきており絶滅危惧類とはなったものの、依然として安心できる状況ではありません。さらに、サクラソウには地域や集団ごとの遺伝子の違いがある点も分かるようになってきました。いわゆる「遺伝子の多様性」の道標ともなっています。地域ごとにある環境の多様性が、地域ごとのサクラソウの多様性に繋がっており、逆説的に言えば、各地のサクラソウを護るためにも、地域固有の環境の多様性を保全し続けていくことが、持続可能な社会を維持し続けていくためにも、じつは大切なことだと言うことです。