素数ゼミ考1

セミのライフサイクルは、幼虫時代は地中で7年、地上に出て羽化して成虫になって僅か一週間、という話を、誰しも聞いたことがあると思います。いわゆる「七年七日」説ですが、巷の都市伝説のように、これまた正しくなく、地中での幼虫期間は、その棲息環境(地温や根の栄養状態)や種類によってばらつきはあるものの、3年から5年で地上に出てくるようです。成虫の期間も個体差や棲息環境次第ですが、2~4週間は活動しているので、成虫については冒頭のイメージよりは「長生き」しています。
さて、今日のテーマでもある「素数ゼミ:Magicicada」は、日本ではなく、北米に分布しているセミで、その種の地上への出現は、何と13年周期であったり17年周期になっています。たしかに長周期で地上に出てくる(=羽化し交尾して子孫を作る)ことで、その間に発生する地上の環境変化をやり過ごすことが出来るので、種が絶滅するリスクを減らしながら、できるだけ長期間繁栄を続けていくという生存戦略は理にかなっています。ただ、不思議なことは、いま生き残っている長周期のセミは、13も17という、いわゆる素数(その数と1でしか割れない数)周期であり、数字的に近い14年ゼミや15年ゼミは存在しないのでしょう。
誤解している方も多いのですが、彼らは別に13年ごとに、あるいは17年ごとに北米全土で発生するわけではありません。決まった地域ごとに「群:ブルード(Blood)」に分かれて出現する形態です。13年ゼミは3ブルード、17年ゼミは12ブルードが確認されています。各ブルードの個体は移動せずに、その一角で交尾し、次世代に命をつなげていきます。

Cicada Emergence Infestation Virginia 2021