ANN CLEEVES 2

内容は重なっていないものの、ドラマ版のシェトランドがジミー・ペレス物として終えたこともあって、本の方も長編八部作の最終章『炎の爪痕:Wild Fire』(2018)を読むことにしました。イギリスそのものが島国ですが、シェットランド諸島はスコットランドのさらに北部に浮かぶ島嶼です。人口はわずか2万3千人ということなので、そこかしこで知り合いや親戚に会います。濃密な人間関係のなかでは、ちょっとした事でもあっという間に知り渡ってしまうような環境なので、却って人々は秘密を心の深いところに隠してしまいます。大都会ならば希釈されてしまうような妬みや憎しみも、閉塞した環境の中では、心の奥底でどんどん膨張していきます。こうした中では、起きた犯罪の糸口を探っていくことは困難を極ることになります。逆に言うと、こうした人間関係の複雑な絡み合いが、この物語を面白くさせています。真相を発見する優れた観察眼がなければ、ここでは警察官は務まらないでしょう。そして何よりナイスなのは、やはりジミー・ペレスの人間臭さですね。鋭い分析力を持ちながら、ときには頑なになったりする子供っぽさも見せるので、まあ周囲からは好かれるのだと思います。ちなみに、わたし的にはウィロー主任警部の大ファンです。