Evelyn Waugh

なんとなく手にした、ウォーの『ご遺体』を読んでみました。理由は簡単で、薄くて読みやすいかなと感じたからです(約220ページ)。自分がイギリスの小説を好むのは、ウィットに富んでいるからで、この本もなかなかユーモア(というよりブラックユーモア)と風刺に溢れています。舞台はアメリカ(ハリウッド)ですが、こうした、生来の場所とは別の地に立つと、イギリス人のもつ特異な性格が際立ってきます。意味もなくやたらと見栄っ張りな(=「体裁」にこだわる)人が出てきて、「イギリス人なのだから仕事を選べ」とかいう余計なお節介です。本国でうまく行かなかった人たちの集団ですので、大なり小なり外聞には敏感なのでしょう。思い出すと自分の場合も、ドイツの小さい街に駐在していた時は、言動はおろか、着るものにも気を使っていました。自分の振る舞いで日本人全体が悪く評価されると困ると感じたからです(振り返ると杞憂でしたが)。特異な世界でもある「ペット専門の葬儀社員」とか「訳もなく豪奢な金持ち用の葬儀会社のコスメ専門員」などが登場してきます。いずれも「ご遺体」を扱う人たちですが、彼らが繰り広げる話を読んでいると、違った角度からみると、これまた「体裁」にこだわった世界の小説とも云えるでしょう。しかも登場人物の殆どが、いうなれば薄っぺらい、浅薄な価値観の持ち主たちなので、事件はあらぬ方向に向かっていきます。結局のところ、どうしようもない人々の、どうしようもない顛末、ということになるのでしょう。こうした皮肉とある種の冷たさは、やっぱり英国小説の一つの側面なのでしょう。

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