論創海外ミステリの一冊、『贖罪の終止符:CEASE UPON THE MIDNIGHT』(1964)を読んでみました。たまたまというか、邦訳はこの一冊だけなのですが、イギリス本国では人気を持つ作家ということらしく、読んでみてそれが分かりました。舞台はガーンジー島という、英仏海峡にうかぶチャンネル諸島のひとつ、地理的にはフランスにより近い英国王室領です。こうした特異な設定だったり、遠い過去に起きた事件との絡みなど、縦横に巡らされた伏線がじつに興味をそそります。そしてスミス警部という、一見すると特徴のない主人公が、一つひとつ粘り強く事件を解決に導いていきます。自らを「並のプロ」と評しておりますが、この警部は「プロ中のプロ」だと感じます。人間がもつ狂気や愚かさは、誰しも内面に持っているのではないでしょうか。法のあちら側に行くか行かないかは、ほんのちょっとした巡り合わせによって決まってしまうのかも知れません。









