先に『ウナギの博物誌 』の書評をしましたが、この本で興味深かったテーマは、日本に辿り着いたウナギたちの不思議な生態です。あるものは河川を遡上し純淡水域で落ちつき、さらには河川とは別れて分布している湖沼にも棲みついたりします。多くの個体は塩交じりの河川、すなわち汽水域で生活しますが、なかに沿岸部の海に下り、「海鰻」として過ごし、そこで産卵時期まで育つものもあります。これらの差がいったい何のメカニズムで発生するのかを解明した研究者は、わたしの知る限りおりません。地形や採餌対象などの外的環境の違いで、たまたまそう分かれたのか、それともすでに個体ごとのDNAに織り込まれていた習性に基づくものかは皆目不明です。同書によれば、ウナギは成長の過程で、「黄ウナギ」そして、さらに成長して「銀ウナギ」になってのち、産卵の旅に向かうとされています。もう一つの外観的な特徴では、この書では「クチボソ」と「カニクイ」と区別していて、純淡水域に棲息する、顎が発達していて口が大きい個体は「カニクイ」と称されていました。一方、汽水域に棲む個体群は、顎が発達せずに口先が尖る「クチボソ」とこの本では分類されていて、食味は「クチボソ」がよく、「カニクイ」は劣る、という評価でした。汽水域の方が栄養状態がよく、短期間で生長するので組織内に雑味が蓄積しないからではと考えられています。純淡水域の「カニクイ」ウナギは食べたことが無いので評価は出来ませんが、個人的な体験からすると、口先が尖っているウナギよりも、河川でも海に極めて近いエリアに棲んでいて、頭部が潜水艦のように丸いウナギの方が臭みもなく美味でした。つまり頭が丸いウナギ、私や仲間が「海鰻」と呼んでいた個体群が最も美味だった記憶があります。関東の汽水域で言えば、海域近くのほうがエサも豊富で水質も良いからでは?と考えております。〔↓ その昔に多摩川でゲットしたウナギ。中野島付近なので淡水域〕









