帰郷?

無から有が突然生じることもないので、人間は誰しもルーツがあるはずです。わたし自身も、生まれたときから一度も訪ねたことがない、父方の郷里(知っている親戚は誰もいませんが)に寄ってきました。親の法要(回向)で奈良県に行った帰り、近鉄名張で、たまたま急行電車が連結外しとかで停車したので、急ぐ予定もなかったので、まあ一生に一度ぐらいは良かろうと名張で下車して、街を散策してみました。あいにくの曇り空でしたが、その分暑さも抑えられていたので、けっこう愉快に散策することが出来ました。三重県にある名張市は、伊賀の里に近いということもあり、別名では忍びの街としてもPRしており、街中でちょっとした路地にも手裏剣の跡があったりして、ぶらり散策でも面白かったです。意外だったのは、あの江戸川乱歩氏が、この地で生まれたそうです。過ごした日々は少なかったようですが、あの奇っ怪な文章には、もしかしたら忍びのDNAが混じっているのかも知れません。街を歩いているときに、遠くに見える山並みを眺めて思い出したことがあります。だいぶ前に、先祖の遺産の名残とかで名張の山中の土地の相続放棄証明申告書が名張市役所から送られてきて、それに署名したことです。そこそこ広いエリアでしたが、道もないようなところだったので、税金を払うよりも放棄したほうがマシとかいうことで、放棄したわけです。もしかすると、自らのルーツを辿って、人も踏み込めない山奥で修験道を極めるという選択肢もあったのかも知れません。