ラング・ルイス

年末年始には、新しい作家のミステリも読んでみたいと思い、ルイスの『死のバースディ』を読んでみました。ジェイン・ベイノン(Jane Beynon)名義でも幾冊か小説を出しておりましたが、ラング・ルイス名義の本作は、1952年に出されたあと、長期間忘れ去られていたものが、1978年にミステリ復刻シリーズという形で再刊されてからブレークしました。その理由は、どうやらガチガチのミステリに飽きを感じていた読者層が、彼女のナイーヴなタッチに魅力を感じたためだと思います。女性による女性のためのミステリという形容が正しいかどうかは不明ですが、女性が社会のなかで生きていくなかで感じざるを得ない窮屈さを、さりげなくストーリーの中に折り込みつつも、どこかに癒やしの要素を組み入れていくという表現力が効いているのだと思いました。
他にも長編を書いてはいるのですが(普通小説含めて10冊程度)、邦訳されている本はミステリ二作しかなく、しかも彼女の良さはミステリ以外で生きるはずだと感じたので、それらが邦訳できていないのは少し残念ですね。