稲荷信仰と仏教 稲荷信仰は八幡信仰と似ていて、神仏習合の要素があります。遠く天竺(インド)や中国から仏教が入ってきた際にいろいろな味付けがされました。 ヒンズー教の神様で「ダキニ天」というのがありますが、この神様は呪術をつかったりして、けっこう怖いのですが、それだけに神通力があります。やがてこの信仰は仏典の中に織り込まれて、日本に入ってきますが、そのときにどうやら中国の動物観とむすびついて、キツネと関連づけられたようです。 中国にはもともと「霊狐譚」が多く、これによると狐精は尾の先が分かれており、一見イタチのようでもあり、人をしばしばだましたりするといいます。そして逆にこれを飼育したり使役するものは豊かになれるという言い伝えです。 このような中国の民俗文化が習合し、さらには密教や陰陽師の影響を受けた「日本のダキニ信仰」が出来上がりました。日本流ダキニ天は白狐にのり宝珠をもつ天女型のイメージが出来上がっております。 本来狐は黄色ではあるのですが、ここで出てくるイナリギツネは白色で、どうやら白色には神の化身の霊物のイメージがあります。たとえば本文に紹介しましたような、的にされた餅が白鳥となって飛び立ったという話にもあるように、白色には神性を表すような意味があるようです。 アルビノの魚や動物が神聖なものとして信奉することはままありますが、このような大自然の摂理に畏れをいだくことで、おそらくは同じような理由からきているのでしょう。 このように稲荷信仰には日本古来の神道の流れをくむものと、天竺や中国、そして真言密教の要素を交えたものがあるようです。古神道系の流れをくむ代表が伏見稲荷で、仏教系は豊川稲荷ということのようです。 |